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FPSを快適にプレイするには回線スピードよりping値が大事という話

ping

ほとんどの場合においてプロバイダ業者によるおかしな宣伝による誤解なのだと思いますが、

「インターネット回線の価値はスピードだ!」という風潮があります。

しかし全くもって間違いではなく、もちろん大容量化し続けているインターネットコンテンツを楽しむために回線スピードは重要な要素であることに間違いは無いのですが、

ことネットゲームにおいて考えた場合には「回線の価値=速度」は成立しません。

ネットゲームにおける回線の価値は「ping」にあります。
正確に言うと「ping値とその安定性」がネットゲームにおける回線の価値であると言えます。

PINGとは何か

PING(ピン)とは、通信先のサーバIPに対してごく微量(32バイト程度)の通信を行い、応答があるまでの値を言います。
応答速度とも言い、単位はms(ミリセカンド:1/1000秒)です。
応答するまでの時間なので、値は小さいほうが優秀です。

PINGとゲームの関係

ネットゲームでは、常にプレイヤーのキー操作ログがゲーム側のサーバと通信され、それが他のプレイヤーに共有される事で多人数同時プレイを実現しています。
e-spoetsなどにあげられるFPS系や格闘系などの0.01秒単位で勝負を決するようなジャンルゲームにおいては、安定したping値がある前提でゲームが動作しているため、ping値が悪いプレイヤーは大きなハンデを持ってプレイする事になります。

簡単に言うと、
ping値:1msのプレイヤーは、理論値では1秒間に1000回サーバと通信できるのに対して、
ping値:200msのプレイヤーは、1秒間に5回しか通信できません。

200msのプレイヤーは、相手プレイヤーの動きが正常なタイミングで表示されず(今起こったアクションを0.2秒後に受け取る事になる)、自分の画面では完璧なタイミングで操作したのにもかかわらず「ヘッドショットしたはずなのにダメージが入っていない」「出だし無敵なはずの昇竜拳がなぜか潰された」の様ないわゆる「ラグい」と言われる状態になり、不利なプレイを強いられる事になります。

回線スピードとゲームの関係

ちなみにゲーム中にゲーム側サーバと通信される内容というのは、ゲームグラフィックまるごと通信しているわけではなく、キー&マウス操作やキャラクターの位置情報などの最低限のテキスト情報です。
それらの受け取ったテキスト情報を元に、パソコン側でグラフィックの処理を行いゲームが動作しています。

最大1秒間に1000回通信されるわけですが、この時に必要な回線スピードは、よほど最適化のされていないゲームでない限りは3Mbpsもあれば足りると言われています。

3Mbpsというのは、今時LTEのスマホ回線でも余裕で賄えるスピードである事はご存知の通りであり「ネットゲームを快適にプレイできるプロバイダーを探す」といった場合「回線スピードの上限」は求める必要が無いと言えます。10Mbpsだろうと100Mbpsだろうと、実はラグにほとんど影響しないのです。

インターネット回線を選ぶにあたって、e-sports系ゲーマーが重視すべきは「ping値」である事の根拠がここにあると言えます。

PINGの悪い原因は何か

ping値が高くなる原因はいくつか考えられますが大きい原因としては、

  • 通信先のサーバまでの物理的な距離が原因
  • 通信方式が原因
  • 通信機器が原因
  • 回線スピード重視が原因
  • パソコンスペックが原因
  • プロバイダが原因

などが考えられます。

▶ 通信先のサーバまでの物理的な距離が原因

1秒間に地球を7周半すると言われる光を使った回線だとしても、
曲がりくねった光ファイバーと複数の基地局を経由して遠隔地のサーバと通信するので、
物理的な距離が長いほど千分の数秒のping値に影響が出ます。

日本国内でも沖縄⇔関東間などは距離や海底ケーブルなどの問題で、なかなかping:50ms を下回ることが出来なかったりします。
それが通信先が海外サーバともなれば、ping:3桁msという目も当てられない事態になるわけです。

参考までに、経験上の世界各都市サーバと日本とのping目安(おおよそ)は、以下の様な感じです。

日本 ⇔ 日本 ping:10ms
日本 ⇔ 韓国・台湾 ping:50ms
日本 ⇔ 香港・シンガポール ping:100ms
日本 ⇔ アメリカ ping:125ms
日本 ⇔ オーストラリア ping:150ms
日本 ⇔ ヨーロッパ ping:250ms
日本 ⇔ ロシア ping:300ms

距離の問題は、沖縄がダメなら東京、東京がダメならニューヨーク・・・と引っ越せば済む問題だったりしますが、居住地の変更は簡単に出来る事ではないので、ここはある程度妥協するしかないですね。

▶ 通信方式(有線/無線)が原因

皆さんも実経験として認識があると思いますが、通信の品質は

「有線 > 無線」

が、今の人類の技術力では変えられない現実です。

回線スピードについて語られる事の多いこの比較ですがping値においても同じ事が言えます。

例えば同じプロバイダ契約の回線でも有線LANで繋いだ場合に ping:5ms であったとしても
無線LAN(Wi-Fi等)で繋いだ場合には ping:100ms を超える事も少なくありません。

当然、WiMAXなどの無線回線契約も同じことが言えます。
「100Mbps!」などの謳い文句で、有線契約と同じ品質のような宣伝をしていますが無線通信の特性からping値はどうしても遅くなります。
通信先までの物理的な距離からくるpingに加え、PCと無線基地までの通信pingが加わるためです。

たまに単発の通信測定でping:30msくらいの値が出る事もありますが、断続的な通信をするネットゲームにおいては、安定したping値を維持することができず、体感でラグを感じる事になります。

FPS系や格闘系ゲームを本気でプレイするならば、「回線の親端末が1階・自分の部屋が2階」といった場合でも、安易な無線LAN接続は避けるべきで、10mケーブルを買ってでも壁伝いに有線LANケーブルを引き入れましょう。

▶ 通信機器が原因

PC内臓のLANカード、LANケーブル、モデム・ルータ・ONU等の通信が通過する各機器も原因になり得ます。

古いPCや、格安のPCを使っている場合によくあるのが、
「LANボード~LANケーブル~モデム・ルータ」等の通信規格が古く、せっかく光回線にしても機器自体が持っている通信上限に引っかかってしまい、本来出るべき回線スピードやping値が発揮できないケースです。

これはデスクトップPCであればLANカードの増設とケーブルの買い直し、モデム・ルータはプロバイダからのレンタル品であれば新しいものを要求するか自分で買って用意することでで解決します。
ノートPCのLANボード側が古い場合は…その古さではそもそもパソコン自体がゲームに向かないので買い換えましょう。

それとは別に、これらの機器は長期間起動をしていると少しずつ通信のゴミがたまり処理が遅くなっていく問題があります。

PC側は頻繁に再起動するので問題ないかと思いますが、問題は、モデム・ルータ・ONUです。

モデム・ルータ・ONUとは
ものすごい簡単に説明すると、壁から出ている光ケーブルとパソコンを繋ぐ間にある機器がモデムやルータやONUです。必ずしも3つあるわけではなく、機能が統合された1つだけの機器がある場合もあります。

モデム・ルータ・ONU達は、足元や壁の隙間に放置されていて存在すら忘れられがちですが、これらを再起動した記憶が無いひとは、一度再起動(どこかに再起動ボタンがある。見つけられ無ければ電源コードを抜いて→10分放置→挿し直し)を試してみて損は無いでしょう。
パソコンと同じで電子機器は再起動で処理がクリアになるので、回線スピードはもちろんpingの安定性向上手段としても効果があります。

▶ 回線スピード重視が原因

遅ければping性能が良いという話ではありませんが、過度な回線スピードは、pingを犠牲にしている場合があります。
ADSL等の時代には、プロバイダに連絡して回線スピード上限を下げてもらう事でpingを安定させるという裏ワザがあったのを覚えている人も居るかと思いますが、過度にスピードを重視した設定は、pingに対して悪影響がある事は覚えておいて損は無いです。

回線スピードを上げるツールや設定方法などをネット記事で目にする事があるかと思いますが、これらを理由にあまりお薦めできません。
あれだけ回線スピードを売り文句にする専門業者が、上げられる余力がある事を認識したうえで「その余力をあえて残した理由」を考えてみましょう。

すでに何らかの手法で回線スピードアップを施している場合は、それらをオフにすることで回線スピードは数%落ちるかもしれませんが、ラグの原因であるpingは改善するかもしれません。

▶ パソコンスペックが原因

もちろん受け取った情報をパソコン側でグラフィック処理をしてゲームが動作しているので、パソコン性能(主に、CPU、メモリ、グラフィックボード)も少なからず影響があります。
厳密にはpingというよりもその後の処理の問題なので少し性質は違いますが、ラグの要因として改善すべき点のひとつとして上げておきます。

▶ プロバイダが原因

プロバイダーによっては、提供している回線自体が安定したpingを出せていない場合があります。
1つの回線にユーザーを詰め込み過ぎていたり、回線スピードのチューニングばかりでping値を重視していなかったり、インターネットの本流につながるまでの経由基地が多すぎる又貸しの粗悪回線だったりと、原因は様々かと思いますが、

四方対策をしてもping値が改善しないといった場合は、プロバイダー自体を疑ってみましょう。
ネットで悪評が目立っているようであれば、さっさと評判の良いプロバイダを探して乗り換えましょう。

まとめ

実際、動画や音楽を楽しむといった一部の用途以外では、インターネットはそんなに回線スピードを必要としません。
ネットゲーム内で「ラグい」と感じる原因をインターネット回線に問うならば、その原因は回線スピードではなくping値を疑うべきだという話でした。

皆さんが「ラグいから回線スピードの早いプロバイダーに変えよう!」「ラグいからネットで見つけた回線高速化ツールを入れてみよう!」などと安直な考えで、しなくてもいい失敗をしてしまわないよう、このエントリーを残します。

pingの注意点と改善方法まとめ

  • 有線LANにしよう
  • 関東に住もう
  • パソコンや通信機器を新しくしよう
  • モデムやルータを再起動しよう
  • 速度を上げる設定は戻してみよう
  • プロバイダを変えよう

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